番外編 邯鄲の夢は滑稽?{エイト&ヤンガス編}

旅の始まり、この道化師が杖を持った時から、歯車は回り始めた。

拒む事が出来ぬ、運命の歯車へと姿を遂げた。

城は、茨に包まれ、一夜の内に地獄と化した。
姫と王は結界で守り抜かれたが、城の者達は、悶絶した表情のまま茨と化していた。
物言わぬ、まるで鎖に縛られたの様に動きもしない。
魔物も実在し、城は魔物の住家と化した。
他国から一度だけ使者が送られて、城の中へと入った。
その中は、噂で聞いたのもよりも、遥かに超えていた。
目に焼きついたように、その映像は離れなかった。
この城は、それ以来訪問者は二度と現われなかった。
起き上がった王と、姫は、他の生き残りを探し出す事に決めた。
すると、偶然少年の兵士と出合った。
それは、知っている少年だった。
王は少年の名を叫び、駆け寄った。

しかし、道化師も、計算していなかった事が有った。
それは、エイトという青年が生き残った事。
そして、この者に斃されると言う事は、道化師は想像していただろうか。
この者も、茨と化したと思ったのには違いない。


「・・・・・お前のせいで、トロデ王は悶え苦しんだんだ。」
人がいい目つきと打って変わって、人も寄せ付けない、そんな瞳に変わった。
しかし、怯む事無く、にやけた妖しい目で、少年を見据えた。
妖しげな杖が、光沢を帯び、少年の姿を映し出した。
それは、玩具でも弄ぶような、手付きだった。
「アッシも、色々な人が殺されて、悔しかったでがす!今此処で、尋常に勝負でがす!」
斧を構え、距離をつけた。それに合わせて、後列・・・ゼシカとククールも戦闘態勢に入った。
ゼシカは両手を構え、素早さを高める呪文、ピオリムを唱える準備をした。
ヤンガスは、体型が太いから、その分素早さも劣る。その為だ。
ククールは、エイトに狙いを定め、筋力倍増呪文のバイキルトを放った。
エイトが、道化師に五月雨突きを放った。
雨の様な槍の連鎖が襲った。
道化師は、青い鮮血を渋かせながらも、不敵に笑った。
「貴方達は何も分かっていない。犠牲は付き物なんですよ。」
まるで、自慢するかのような口調だった。
「ふざけるな。アッシ達はそれを食い止めるのが役目なんだよ!!」
ヤンガスは威厳を込めた声で、道化師に叫んだ。
またまた頭に響くような、高笑いが、辺りを木霊した。
「敵討ちしても、死んだ方々は帰りませんよ。」

知っている。そんな事は。
敵討ちしても、意味が無いって事は。
余計に、相手を苛立たせるかもしれない。
そもそも、敵討ちは、亡くなった人への償いになるのだろうか・・・。
第一、それを望んでいるのかすら分からない。

けれど、これは決して意味がない事ではない。
道化師を倒したら、王や姫、そして城の生活が元に戻るんだ。
忌々しい奴を倒したら・・・・。
期待に胸を膨らませ、斬りかかった。
ヤンガスも雄叫びを上げながら、突進していった。

兄貴と出合ったのは、蝉が鳴く頃だった。

行く先もなく、ただフラフラ遊び人の様に歩く元山賊。
元というだけにあって、流石にまた山賊になろうと思わなかった。
けれど、アッシには居場所が無い。
だったらあの悪党の町に帰るか・・・・?
人を脅し、卑怯な真似をして、何が楽しい。
言葉遣いは荒いが、決して人を貶すような事はしなかった。

この日までは
 
いつもの様に、橋を渡っていると、ある連中と出合った。
それは、緑色した怪物と、白い馬、そして少年。
これは良いカモだ。きっと金を持っているに違いない。
橋を渡ろうと、足を踏み出した瞬間に、ヤンガスは妨げた。
少年エイトは、下目で睨み付けたが、迫力が無い。
気にすることも無く、いつもの脅しを掛ける。
「おいおい!待てぃ!この橋は通らさんぞ!」
しかし、忽然と無視をされ、馬を引かせ通り過ぎ様とした。
更に虫の居所が悪くなったヤンガスは、罵声を上げた。
「俺を誰だと思ってやがる!?俺はヤンガスだ!」
それでも、緑色した奇妙な化け物は、怯まず、怪訝そうな顔で振り向いた。
「はぁ?何処かの間抜けか?知らんな。山賊だろうと、盗賊だろうと、わしゃ知らん。」
その言葉に、ヤンガスは理性を収めきれなくなり、斧を取り出した。
そして、エイトの方へと斬りかかった。
しかし、エイトは、動きの鈍さを悟り、咄嗟に身を交わした。
切った所は、ロープだった。
「し・・・・しまったぁ~!!」
ヤンガスが情けない声を上げると共に、断末魔の悲鳴をあげ、海へと転落した。
否、運良く橋のロープに捕まっていた。
命綱は、頼りなく、細い。今にも切れそうだった。
その隙に橋を渡り、反対側の地へと辿り付いた。
「自業自得というものじゃ。」
怪物・・・トロデ王が、哀れそうに見つめ、皮肉を投げ捨てた。
そして、背を向き、エイトに呼びかけた。
「おい、行くぞ。此処に長居は無用じゃ。」
しかし、応答が無い。
おかしいと思い、後ろを振り向くと、手綱を引き寄せるエイトの姿が映った。
思わず目を丸くし、お人好しに呆れ果てた。
そして、最後の手綱を引き上げると、ヤンガスが自力で草を掴んだ。
二人とも荒い呼吸を繰り返す。
収まった所で、ヤンガスは目尻が熱くなって行くのを感じた。
こんなに感動した事は無かった。
「兄貴!!俺・・じゃなくてアッシは、一生兄貴について行くでがす!!」
身を乗り出し、ただでさえ重い身体を引き寄せ、手を取った。
エイトは、狼狽した表情で、苦笑した。
「何言ってるんじゃ!?兄貴って・・・お前の方が年取ってるではないか!?」
トロデが咄嗟にそう言ったが、それに納得が行かなかったらしく、怒声を上げた。
「るせぇ!兄貴は兄貴だ!」
しばらく其処で揉め合いになり、二人と共に戦って町に着いた事があった。
頭は悪いが、根はいい奴であった。
味方を見捨てる奴じゃないから・・・・。

道化師は、笑いながら、三人に分身した。
流石に誰も予測してなかったらしく、仰天に包まれた。
「これでも勝算がありますか?誤算でしょうねぇ・・・」

馬鹿にした笑い声が更に高まった。



2008年08月12日 Posted byチャッピィーのドラクエ日記 at 12:20 │Comments(0)TrackBack(0)小説番外編

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