番外編 脱出 ~中盤~

此処にも、法皇の死が伝えられた。
ククールの、一瞬顔色が変わった。そして胸騒ぎを覚えた。
兄がやった事は、すぐに分かった。
「くそ!!あいつ人殺しなんてすると思ってなかったのによ!!!!」
思い切って地面を蹴った。虚しい音が響く。
見張りをやっていた荒くれが怒鳴った。
「静かにしろ!!」
しかし、怯えず、嫌味をくれてやった。
「お前が一番五月蝿い。そんなこと言うんだったら、俺らを解放しろ。」
ククールが蔑む様な目に変わり、荒くれは更に怒った。
眉に皺を寄せ、思わず剣を構えそうになったのを、エイトが止めた。
「離せ・・・!!頼」
「ククール。気持ちは分かる。けれど今此処で、騒ぎを起こしても意味が無い。」
エイトは仲間の心が壊れそうになってる事は理解した。
力なく柄を握ってる手を下ろし、壁に凭れ掛かった。
溜め息を大袈裟に吐き、気持ちを落ち着かせた。

今まで関係ないと思っていたのに、如何して自分の心まで、傷つく・・・・。
兄の事になると、関わりたくなかった。のに何でやけくそになっちまう・・・。

頭が混乱し、非力な事を叩きつけられた。
頭を抱え、俯いた。すると、隣で見守っていたゼシカが重たい口を開けた。
「今まであんたは強がっていたわね。私、初めて弱い所を見たわ。
人間はいつだって弱いのよ。だからきっと、力欲しさに、嫌味男は、利用したんだと思うわ。
それに悔しかったら、いつだって八つ当たりしても良いのよ。」
その言葉を聞き、心が安堵する様に思えた。
そして、考えていた大司教が口を開いた。
閃いた様に、エイト達を呼んだ。
荒くれに気付かれないように耳打ちをすると、早速実行に取り掛かった。

地面に伏せ、腹を抱え、痛むように声を上げた。
「イタイイタイ!!腹にロザリオが刺さった!!」
そして、ヤンガスが心配そうに支え、ゼシカが必死に牢屋を叩き、訴えた。
荒くれが慌てて扉を開けた。
作戦だと気付かずに。
ゼシカ、ヤンガスは気付かれないように、荒くれの後ろに回りこんだ。
大司教を支え、腹を覗く。
そして、大司教が指示を出した途端に、殴りかかった。
何しろエイト達は数々の魔物を倒してきた勇者である。
並の人間には相当勝てないだろう。
気絶した間に、脱走し、鳥の籠の様な物に乗り込んだ。
しかし、自動的には上がらなかった。
不審に思い、隣を見ると、レバーが目に入った。
それを操作しないと、地上には戻れない。
その為には、誰かが残って操作をしなければならない。
一瞬考え込むが、大司教が、そそくさとレバーの方へ向かった。
驚き、ヤンガスがすぐさま声を上げた。
「どうせ、地上へ戻っても、教会の連中に捕まってしまう。」
そして、レバーを引き、エイト達は地上へと向かった。
「頼んだぞ!!わしは法皇様の死の真相が知りたいのじゃ!」
大声で叫んだ。
その反動で、起きてきた荒くれ二人が、こちらへ向かってくる。
手を差し出し、覚悟は出来ておると呟いた。

地上へ戻ったエイトの前に現われたのは、トロデだった。
船を操作し、無事此処まで辿り着いたのだと言う。
そして、慌てて船へ乗り込んだ。
船の中で、ククールの心境を誰もが気遣っていた。
犯人はマルチェロだと、分かっていたから。

残された時間は、残り僅かだった。

急いで、聖地ゴルドへと向かった。



2008年08月14日 Posted byチャッピィーのドラクエ日記 at 22:00 │Comments(0)TrackBack(0)小説番外編

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