番外編 救いの手 ~終盤~その1

「貴様は何も分かっていないな。」
剣がぶつかり合い、銅鑼の音を響かせながら、エイトに言葉をぶつける。
無言で、剣を受け流し、すぐさま更なる攻撃に向けて姿勢をとった。
「・・・・・分かっていないのは、そっちだろうが。」
それを見て、睨みながらククールが呟いた。
今は戦いに集中しないと、補助係なんだから・・・・。
兄なんて、関係ない・・・・。
そう自分に言い聞かせ、両手をエイトの方に翳した。
「バイキルト」
筋肉倍増させ、更なる強い攻撃が期待できる呪文だ。
エイトが、ありがとうと呟くと、槍を構え、一目散に突進した。
呻き声を上げて、マルチェロは姿勢を取り乱す。
ゼシカも同じく、バイキルトをヤンガスに唱えていた。
ヤンガスは、烈風獣斬を計り、空高く飛び上がった。
そして、マルチェロに向かって斧を突き刺した。
突き刺さったのは地面。
そこから這う様に、地割れが起き、岩が突き出した。
岩は、容赦なく、マルチェロの腹に突き刺さった。
岩は、煙の様に消え去り、跡形も無く消えた。
どうやら、幻覚というものであり、錯覚というものでもあった。
マルチェロは、軽く舌打ちし、剣を十字に交差させた。
兄の技を、一目瞭然に気が付いたククールが注意を促す。
「危ない!!」
だが遅かった。
光は軌道を描き、光が炸裂したかと思うと、地面が黄金に輝き出した。
突き出すように、高熱の光が焼け尽くす。
苦悶の声と、轟音と爆音が響き渡った。
グランドクロスというものだ。
神の信仰を、充分信頼してるものしか使えない。
「・・・・う・・・・。」
呻き声を漏らしながら、ゼシカは全身に力を溜めた。
傷が酷い。スカートが焼け焦がれている。
血が、服を真っ赤に染めた。
すると横から、ククールが手を翳すのが目に入った。
呪文を唱えると、身体から痛みが消えた。
「あんたの方が、傷は酷いのに・・・・!!」
未だに、腕から血の線が滴る。
血液は、地面に伝い落ち、汚した。
「馬鹿。気にするな。」
それだけ言うと、更なる呪文に集中する。
しかし、兄弟といえども、大人しく回復させてくれる兄ではなかった。
剣を翻し、回復に、精を凝らしていた自分の反応は、僅かに鈍った。
刃は深く脇腹に入り込み、内臓まで一貫していた。
鮮血を辺りに撒き散らした。
押し倒すように剣を引き、その弾みで吹き飛んだ。
後ろで、にっこりと微笑んでいる女神像に、血がこびり付いた。
女神像に後頭部をぶつけ、一瞬だけ気を失った。剣が転がる音を耳の奥で聞こえた。
その音を聞き、すぐに意識を取り戻し、立ち上がる。
しかし、身体がいう事を聞いては居なかった。
マルチェロと距離がどんどん縮まる。
脇腹からは、大量な血液が流れ落ちている。
脇腹を押さえる手が、一瞬で真っ赤になった。
電気でも浴びたような痛みに、声が漏れた。
「・・・・・つぅ・・・!」
痛みに顔を顰めるが、何とか耐えた。
「愚かな・・・最期まで私に歯向かうとは・・・・。」
マルチェロが、哀れ見るような目つきに変わり、見据えた。
「愚かは自分だって事は気が付かないのか?支配されたのは自分だと。」
いつも見下していた弟にこんな事を言われ、業を煮やした。
声が荒くなり、エイト達と話し掛けていた、あの冷静な声とは違った。
「黙れ!この出来損ないが!お前さえ生まれなければ良かったものを!!」
剣を傷口の方に突き刺し、抉る。
痛みも倍増し、剣を握っている手が痺れた。
更に傷口が広がり、新しい鮮血が溢れた。
貧血で意識を失いそうになりながらも、踏ん張った。
「・・・あ・・・んたは・・・人憎んで・・・・なに・・・か・・・変わ・・・った・・・って・・いうのか・・・」
言葉にしろ、余裕は無かった。
不規則な呼吸を維持し、途切れ途切れ発した。
後ろで、エイトや、ヤンガスがマルチェロの背を切りつけていた。
マルチェロは、眉を吊り上げている。
「ばか・・・は・・・・あんた・・・だ・・・。」
意識を何とか繋ぎ止め、剣を握る手に力を込めた。
そして、接近していたマルチェロを逆に押し倒す。

尻餅を付いた矢先に、エイトの矛先が腹を突き刺した。
マルチェロは、揺らぎ、片膝をついた。





2008年08月20日 Posted byチャッピィーのドラクエ日記 at 19:16 │Comments(0)TrackBack(0)小説番外編

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