第五十一話 輝く太陽線

エイトは、一人途方に暮れていた。
何もない。
ただ、後ろから、闇が追いかけてくる。

ヤンガスは尻餅をついた。
「兄貴ぃー。もう歩けないでがす・・・。」
情けない声で、ヤンガスが跪いた。
一体どのくらい歩いただろうか・・・。
何十分。いや、それ以上かもしれない・・・・。
時間の感覚すら、おかしくなったようだ。
すると、奥のほうから、声が聞こえた。
ククールでもない・・・・。
唸る声。魔物か!?
目を凝らして見張ると、牛のような魔物が居た。
槍を構え、黄色い、悪魔のような姿は、見覚えがあった。
幾度も戦ったことのある魔物・・・・。
「ベリアル・・・・」
朦朧と呟き、見据えた。
究極爆発呪文・・イオナズンで何度も苦戦されてきた相手だった。
唸り声は、大きさを増し、どんどん近寄ってくる。
弾かれた様に周りを見渡すと、息を呑んだ。
いつの間にか、回り込まれていたことに初めて気が付く。
数体・・・否、数十匹だった。
「ヤンガス・・・いける・・・?」
ヤンガスは斧を持ち上げ、憂鬱そうに周りを見渡した。
「凄いたくさんでがすね。」
こんな時、ゼシカが居れば、きっと最強呪文で吹き飛ばしてくれるだろう。
いつの間にか、エイトの顔は、戦士の顔になっていた。
幾度も死闘を乗り越えてきた誇らしげな顔に。
エイトは、剣を槍に換え、構える。
そして、一匹に向かい、一か八か狙いを定める。
交される事が多いが、当たれば会心の一撃だ。
矛盾しているが、賭けるしかなかった。
今なら、視界が広い・・・。
少しの溜めがある。その隙に交される事が多いが・・・・。
しかし、運良く、一匹の魔物に当たったようだ。
悲鳴を上げ、真っ青な鮮血を渋き、斃れる。
雷光一閃突きという賭けの特技だ。

いくら見ても、相殺は慣れない。
命が、こんなに儚いとは・・・・。

魔物に哀れみの心を捧げ、ヤンガスに場を譲った。
ヤンガスは、斧を力一杯に振り回した。
なぎ払いという特技だ。
一匹が悲鳴をあげ、次々に斃れて行く。
「かぁー!スカッとするでがす!気分爽快でげすな。」
愉快に笑っているが、エイトには、そんな暇は無かった。
大きな巨体を生かし、進みを止めない。
尚且つ真剣な顔をし盾を構えた。
「イオナズン」
一匹のベリアルが、矛を上げ、極大爆発呪文を唱えてきた。
熱さと、肉の焦げる嫌な匂いが辺りに立ち込める。
火傷で皮膚が、泡を吹きながら、膿が出ている。
痛みに一瞬怯んだが、隙を取り戻し、呪文に意識を凝らした。
「ベホマズン」
エイトが唱えた回復呪文は、味方全員、完全回復する。
勇ましい心を持った者でないと扱えない難度が高い呪文だ。
長所は、短時間で回復出来、皆の傷を直ぐに癒すことが出来る。
逆に、短所は、魔力の消耗が予想以上であることが、身体には応える。
しかしベリアルは、勢いを弱めては居なかった。

もう限界だと思った。

すると、奇想天外な事が起こった。
時空を超え、一直線に光の矢が幾千も降り注いでくる。
まるで、太陽の逆鱗の様な矢だ。
ベリアルに裁きを与えているようだった。
眩しいぐらいの、光の矢は、ベリアル達を貫き、火傷を負わした。
避ける間もなく、断末魔の悲鳴を上げ、数匹は、斃れて行く。
だが、まだ半分は生き残っていたが。
しかし、重傷なのは確かだ。
矢が突き刺さったまま、そこからは青い鮮血が、滴り落ちている。
地面にポッカリと大きな穴が開き、熱を帯びていた。
それに、光を帯びていない矢が、幾つも突き刺さって居た。
光は、収まったが、未だに目も眩むほどの光が降り注いだ。
目を細めて見ると、見覚え有る長身・・・。
「やっぱり、ククール・・・か・・・」
安心したように呟き、一息を吐いた。
シャイニングボウと言われる特技だ。
別では、太陽の矢と言われる。
弓の達人で無いと覚えられない難度の特技だ。
上級者でも、人間離れしたこの技を追い求めて居るのだ。

「・・・・ゼシカは・・・・?」
ククールはゼシカを預け、竜から降りた。
「よう・・・。大丈夫かよ?ああゼシカね。寝てるぜ。疲れ果てて。な。」
意味深長な言葉を発するククールに疑惑が浮かんだが、そこはあえて触れなかった。
一応何があったか尋ねてみる事にした。
「ククールこそ・・・。何かあった?」
エイトの問いに、成す術も無く、答えた。
一瞬ククールの表情が打って変わって厳しい様な表情になった。
「一度死んだみたいでさ・・・。俺。」
ククールの軽い口調に唖然とした。
「え・・・・?」
しかし、時間は止まってくれる間もなく、過ぎていく。
生き残ったベリアルを、睨み付けた。
「話は後だ。やるぞ!!」
答える暇も無いなら、問う暇が無い。

真剣な顔でそれぞれの武器を構えた。



2008年07月28日 Posted byチャッピィーのドラクエ日記 at 12:21 │Comments(0)TrackBack(0)小説{ドラクエ8}

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