第五十二話 いつまでこんな戦いやるつもり?

どれだけ、無意味な戦闘をしただろうか。
何も得られない。価値観すら、何も無い。
断末魔と共に、ベリアルは斃れて行く。
しかし、また新手がやって来て、矛を振り翳すのみ。
そして、轟音と爆音が響いた。
ヤンガスの身体が丸いからだろうか・・・爆風で見事に吹き飛んだ。
壁に激突し、後頭部を押さえた。
傷はたいして深手ではない。
ククールが、近寄り、傷口を押さえた。
「べホマ」
傷は忽ちの内に塞がり、鮮血は収まった。
ヤンガスは、転がった斧を拾い上げ、構える。
此処では、力ずくでは意味が無い。
しかし、ヤンガスは、攻撃呪文すら唱えられない。
いや、むしろ、力が自慢だったから、呪文なんて要らないと思っていた。
そういう自分に憤りを感じながら、空中を跳躍する。
ククールが、補助してくれる中、エイトはひたすら剣で切り裂いていた。
「バイキルト」
ククールが唱えてくれたのは、筋力を倍増してくれる呪文だ。
ヤンガスは、斧に力が篭る感覚が宿るのを感じた。
「行くでがす!!かぶとわり!!」
飛び上がり、軽く回転すると、敵を真っ二つに斬った。
硬い皮膚に亀裂が入った。
渋く鮮血が、胸元を汚した。
後退し、エイトは、槍に換え、目を瞑った。
そして、構え、意識を数分凝らす。
目を見開き、槍を地面に突き刺すと、火花を散らし、まるで生き物の様に、敵を襲った。
電流が、打ち倒していき、苦悶の声をあげ、息の根を完全に止める。
荒い息をし、エイトは、哀れだと思い、祈りを捧げた。
いくら魔物であれ、命は命だ。
奪ってしまったのなら、その代償は最早祈ることしかないのだろう。
後二匹残っている。だとすれば・・・・。
ククールが一匹に向かった。
剣を鞘に収め、何も持たない状態で。
腰を深く落とし、真っ直ぐ、相手の懐へと突いた。
ベリアルの硬い甲羅の様な皮膚は、まんまと脆くも崩れ去った。
あれは、せいけん突きだった。ヤンガスだって出来るが・・・。
そして、カランと音を立てて、矛が転がった。
それを無意識に取り上げ、ククールはエイトに投げつけた。
回転をし、地面へと突き刺さった。
背を向けたまま、ククールは叫んだ。
「これ、使えるだろ。それを装備したら、攻撃が上達するんじゃねぇ?」
半ば嫌味を含んだ口調だったが、気にすることは無かった。
「いい嫌味有難う。早速言われたように使ってみるよ。」
エイトも少し嫌味が掛かった言葉で返した。
そして、真っ直ぐ構え、突きの姿勢を執る。
息を殺し、相手に気付かれないよう、一瞬だけ姿勢を保った。
そして、疾風の如く突き刺した。
ベリアルは何が起こったのか分からなかっただろう。
顔は慄然としたまま息絶えている。
恐らく即死だ。
血の付いた槍を収め、背中に託した。
竜・・・・レイナが呼んでいるのに気が付き、一同は、背に跨った。
そして、翼を広げ、羽ばたいた。
「う・・・・ぅ・・・・ん」
竜の背で、無防備に眠っていたゼシカだが、浮遊感に気付き、下を見据える。
思わず悲鳴を上げそうになったが、堪えた。
何故なら、ローズが口を押さえていてくれたから。
「しーですわ。此処で悲鳴を上げれば、また敵がやってきますわ。」
にこやかに微笑んで、優しい口調に安心感が募った。

すると、竜が急停止した。
その反動で、皆が転落しそうになったが、慌てて身体を支える。
「・・・何なんだよ!?いきなり止まるんじゃね・・・」
途中で言葉が遮られたのは、あの少女が居たからだ。
「セレナ・・・?」
ローズが、呟いた。冷たい汗が輪郭に沿って流れる。
憎々しげに顔を歪め、幼き面影があったその顔には、無慈悲だけの文字だ。
憎んでいるのは、裏切ったローズのことだろう。
それだけではない。忌々しいあの四人の木偶人形。
そして、暗黒神を虫けらみたいに扱った竜族のレイナ。
「黙れ。裏切り者がそれ以上言葉を継ぐな。」
血の気が引くぐらいの、恐ろしい冷気。
そして、生々しい瘴気。
邪念が強すぎるとでも言うのだろうか。
この復讐の為にこの少女は生まれてきた。
「ごきげんよう。皆さん。ようこそ此処へ。」
「ラルフ!!!!」
ローズが必死に叫んだ。
見上げると、逞しい筋肉が露出されており、赤髪がちらちら見える。
皆、険しい顔つきで、各々の武器を構えた。
「さて、我々の舞台を見に来てくれたんだろう?だったら歓迎しなくちゃな。」
両手を広げると、町へと姿を変えた。
「ラルフ!一体何をする気なの!?」
ラルフは裏切り者の言葉を軽軽しく無視した。



2008年07月30日 Posted byチャッピィーのドラクエ日記 at 18:31 │Comments(0)TrackBack(0)小説{ドラクエ8}

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