第五十三話 処刑

そう、ラルフは町の人まで巻き沿いにするつもりだった。
「セレナ、お前はあそこへ帰れ。暗黒神様がお呼びだからな。」
セレナは無表情で頷き、上空を遥か遠くに飛んで逃げた。
視線をこちらへと向ける。特にローズの方へと。
「残念だったよ。君だけは、一緒にあの木偶人形を倒そうって約束したのに。
まさか君が味方なんかするとはね。」
ローズが瞳に涙を溜め、何度も首を横に振った。
「貴方は間違ってる!目覚めさせてはいけないわ!!世界が滅びるかもしれない・・・。
いや、貴方も、セレナも!嘘ではないわ!この人たちが教えてくれたの!!
私は間違っては居ない!!」
しかし、ラルフは聞き入れなかった。
「綺麗事か?今更。邯鄲の夢なんだよ。我々にしたらな!!」
目を烈火の如く赤く染まった。ローズは、怯む。
人々が逃げ惑う中、ラルフが、一人の幼い子供を狙った。
そして、光線が貫こうとした。
しかし、姿は無かった。
見ると、一番近く居た、ククールが幼い子供を咄嗟に庇った。
二人共傷はあったが、大したことは無かった。
しかし、子供は膝を少し擦り傷が出来ていた。
「大丈夫か?」
子供は今にも泣きそうな表情をしている。
呻き声を上げ、痛そうに膝を押さえている。
「待ってろ。治してやる。」
意識を集中させ、膝に手を翳した。
光が包み込み、子供は痛みを忘れていた。
呪文を唱えるククールに、不思議そうに顔を覗き込んだ。
子供の体力だからホイミで十分だった。
エイト達にはホイミでは回復量が追いつけないが・・・。
すっかり痛みが無くなり、傷が塞がった。思わず膝を擦った。
瞳を煌かせ、頭を何度も下げた。
「ありがとう・・・。お兄ちゃん・・。」
それだけ言うと、駆け足に去っていった。
ホッと安堵し、頬笑みをかける。
子供は、彼らの姿が見えなくなるまで、手を振っていた。
そして、視線はラルフに向けられる。
「お前・・俺らなら仕方ねぇが、如何して関係ない人まで殺そうとする!?
そこまでの人材か!?俺らは!!」
怒りを露わにし怒鳴りつける。
額から血の線が垂れてくるが、治療のことは頭に無かった。
クククと厭らしい笑みを造り、口が頬を裂いて、耳まで広がった。
ゼシカは、血の気が引き、目を塞いだ。
「誰が死のうと関係ない。我は、お前らだけを殺すのみに創られた、相応しき機械。
人材!欲望の為なら何でもするという素晴らしき魔物!!そして、お前らが死に至るまで
犠牲は増え続ける!この惑星すら無くなる可能性だって有り得るのだぞ?」
エイトは、悔しそうに唇を血が滲むほど噛み締めた。
拳が熱いほど握り絞めている。
レイナは一旦人間に戻り、話に耳を傾けた。
ククールが、ラルフに向かって言葉を投げ捨てた。
「馬鹿か!それじゃあ貴様も滅びる運命じゃねーのか!?何も考えが無かったな!!
世界征服して何が楽しい?何も得られないくせに。自分の欲望が為に?
ローズの言う通りじゃねぇの!?あんたは間違ってる!」
しかし、それでも、ラルフは奇声を上げ、考えを止めなかった。
呆れを通り越し、何も言葉を告げなくなった。
そして、エイトが斬りかかった。
しかし、すぐさま、身を傾けて避ける。
「な・・・・!?」
驚く暇も無かった。腹に鋭い痛みが感じられた。
拳が、貫いていた。
横に倒れると、疾風の如く、ククールが駆け寄ってきた。
しかし、ラルフはこれを読んでいたかのように、両方の腕を背中に叩き付けた。
「う・・・・!?」
息が一瞬止まった。
横目で見ると、ラルフの形は変わっていた。
悪魔のような変身を遂げていたのである。
あの一撃で、かなり体力を消耗してしまった。
うつ伏せに倒れ、まず自らを回復をさせる。
「エイトすまない・・・」
しかし、エイトは微笑んだ。
「大丈夫だよ・・・・。君が死んだら回復の要はガタガタに崩れてしまうから・・・・
僕は後からでもいい・・・だから」
「死ねぇ」
喜びを表している笑みを無理矢理造り、鋭い刃の様な拳を向ける。

エイトの先には、ラルフが待ち構えていたように、立ちはだかった。




2008年07月30日 Posted byチャッピィーのドラクエ日記 at 19:31 │Comments(0)TrackBack(0)小説{ドラクエ8}

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